International BMX Dayである2015年7月18日に、リガ(ラトビア)、グラスゴー(UK)、名古屋(日本)、シカゴ(USA)、サンフランシスコ(USA)という5つの都市にBMXライダー達が集まり、それぞれの街の隅々に痕跡を残していった。
このThe Street SeriesというイベントはMonster Energyが手掛けるイベントとしてBMXライダー達の間ではおなじみのものとして知られているのだが、一味違う趣で行われた今年は、Monsterチームのライダー5名がそれぞれ選んだライダー達を引き連れて5都市に散らばりその街のストリートをジャックするというもの。血と汗が混じり、プロからアマチュア、遊びからライフスタイルといった様々なライダー達のバックグラウンドが融合し、集まった250人のライダー達の息が共鳴するようにストリートを乗っ取っていた。ここではMonsterライダーであるベン・ルイスが自身のチームメイトであるEtniesのチェイス・デハート、アーロン・ロスと共に訪れた名古屋の模様をお届けしたい。
The Street Series Rider Interview
Ben Lewis(ベン・ルイス)
The Street Series 2015のリーダーともいえる人物であるベン・ルイス。4度目の来日という親日家でもあるベンが、この日のコンセプトをパワフルな声と説得力のある目で語ってくれた。The Street Seriesはプロライダーの日ではなく、コンペでもなく、今日はローカルライダーの日なのだと。
-日本は初めてではないですよね?
Ben 4回目かな?日本は好きだけど特に東京は良いね。もしかすると世界の都市で1番好きかもしれない。色々な都市に行った事があるけどやっぱり東京には敵わないね。警察がマジで面倒くさいけどスポットが最高だからいいのさ。
-今回の日本はどうですか?
Ben 暑いね(笑)。この季節に来たのは始めてだけど、これだけ蒸し暑いとはね。蒸し暑さは経験しているけど時差ぼけを混ぜるとマジでダルいね。睡眠との格闘だけどもう5日間位経ってるから慣れてきてる方だし気温も悪くない。夜とかのライドは最高だよ。
– The Street Seriesについて教えて下さい。
Ben The Street Seriesは大成功だと思うよ。警察とは少しばかりトラブったけど、来る前にコンペをして景品を配り終えたから問題なかった。警察が帰ったら再始動。ジャンプは26回位あったけど警察が絡んできたのは少しだけだったかな。
-警察はそれほど問題なかったんですね。250人程いたらしいけど?
Ben 常にって感じではなかったよ。ストリートシリーズは5、6年やってるけどさ、完全にトラブったのは2回位だけ。去年の名古屋とグラスゴーでだね。名古屋で完全シャットダウンされたけど、ちょっと離れたところで再開したりして。罰金とかヤバイ空気になってくると別の話だけどさ。ブレーキがなかったりライトがなかったりと面倒だし、それも罰金とかで。ヨーロッパだと5000ユーロくらい罰金を取られるよ。去年も2、3人捕まったけど結局スポットに戻ってメイクして終わらせたね。
-様々な場所を巡って来たと思いますが、日本のスポットはどうですか?
Ben 東京の建築はイケてるよね。だからこれだけ好きなのかもしれない。ピカソが描いたような構図っていうか。様々な都会の建物とかスポットを写真で見せてくれたら多分地名を言えるような気がする。特に日本のスポットはユニークだからすぐ分かるし、Animalのライドスタイルにも自分のスタイルにも合うし。クリエイティブな俺たちには最高な街だよ。アートに近いものかもしれない。日本は本当に好きだから住んでみたいよ。
-名古屋について教えて下さい。
Ben 名古屋は警察が面倒だったね。できるだけ夜にライドしてトラブルを避けた。3時間経った時には警察が戻ってきて丁寧に追い払われたよ。取り敢えず従って、また50メールぐらい動いて止められてまた動いての繰り返し。2時間放っておいてくれる時もあるし、すぐ来る時もある。まぁそこは運だよね。
-ライダーの様子は?
Ben 半端ないライダーが沢山いたね。The Street Seriesはローカルライダーのイベントなんだよ、プロじゃなくって。チェイスやアーロンと俺でトリックをしてみたりするけど、それはほんのちょっとだけ。後はキッズと絡んだり、ライドしたり、親御さんと挨拶を交わしたり良いバイブスを広げたいんだよね。名古屋でのサポートとバイブスは最高だったよ。ほんと日本って愛とサポートが半端ないよね。ライダーとしてリスペクトしてくれるし、BMXが大好きだし、The Street Seriesもすごく良いサポートをしてくれている。すぐにでも戻ってきたいよ。
-JAMも成功したみたいですね。
Ben ローカルが優勝すると思っていたね。1位にはThe Street Series特製のリング。2位の人にはサイン入りのThe Street Seriesのサイン。あとはヤバいトリックをメイクした人が1000円札を獲得できる試みもしたんだ。もっと乗る気をだして欲しくてモチベーションを上げたかったんだ。もちろん警察もきたりしたけど来る前に肝心なところはこなせた。後は残った金でローカルライダーにビールを買ったりしてみんな楽しめる様に心がけたよ。
Chase Dehart(チェイス・デハート)
Etniesチームのチェイス・デハートはベン・ルイスに選ばれ始めての来日となったライダーの一人。JAMの優勝者はBMXに対する想いと集中力で選んだという彼からもBMXに対する愛情が見えてくる。
-日本はどうですか? 初めてのようですが。
Chase 良い所だね。海外の中で最も好きかもしれない。東京に来てからはまだ短いけど名古屋はすごく良かった。スポットも最高で人もかなり親切でさ。キッズからのリスペクトも感じたよ。
-海外だと他にはどこへ行きましたか?
Chase オーストラリアも良かったね。コロンビアも面白かったよ。見たことのない彫刻とか歴史を感じるものが沢山あったけどコンクリートは問題なくライドできた。初めて見るようなユニークなものばかり。ライディングスタイルを乗る場所の素材に合わせて変える事もあったけど、スケーター程ではないかな。頭を柔らくしていれば大丈夫。レールがあって、階段があってという解りやすいスポットばかりでもなく、場面場面でスポットとどう付き合っていくかを考えるのが好きだね。当たり前じゃない事が好きなのかもしれない。
-日本でライドするのはどうですか?
Chase 楽って事はないけど自分のライドスタイルに合っているかもしれない。建物とかスポットが沢山あって楽しいよ。どこで乗っても調子いいね。まだ来てから日はそれ程経ってないけど最高の日々を送っているよ。
-好きになったきっかけ、エピソードどかあります?
Chase 日本に来て最初にやったのが250人とのThe Street Series。びっくりするぐらい人が居たけど、みんなマジで親切すぎて元気を沢山もらえたね。これだけ気を分けてもらうと気分もいいし、暖かい居場所を作ってくれる。それだけ与えて貰えると馴染みやすいよね。楽しいし気持ちもいい。気分がよければライドも絶好調さ!
-JAMで一番好きだった瞬間は?
Chase キッズと絡んで写真を撮ったりしたことかな。同じような事ばかり言ってるかもしれないけど、180をするだけでキッズ達は大喜び。ただ側にいてほしいだけなんだ。そこに物凄く感動したかな。
-ヤバイと思ったライダーはいましたか?
Chase 優勝したライダー達だね。Ryo KonsuとKenta Shimoma。トリックもキレキレの上、謙虚な人達だった。大事なのは楽しんでいたこと。もちろんスキルがあるライダーは沢山いるけど、優勝したライダーは集中力が違ったね。他のキッズ達が楽しんで遊んでいる時に、優勝した2人はライドを物凄く楽しんでた。俺達はそれを尊重したくて優勝者として選ばせてもらった。それが見えたから優勝したんだよ。日本に遊びに来させてくれて、そしてインタビューまでしてくれてありがとう。ローカルの人達には感謝の気持ちは言葉にならない。フィーリングが最高だったよ。
同じくEtniesチームとベンに選ばれたテキサス出身のアーロン・ロス。BMX、スポット、旅に関して詳細的な視点で、名古屋での経験も話してくれた。世界中を旅していると物を細く見るようになるのだろうか。
-テキサスと東京ってやはり違いますが?
Aaron もう世界に飛び出して10年目になるけど、日本に来るのは3回目かな。国としてはやっぱり違う部分もあるけど、都会に行くとそれほど変わらない気もする。特に中心に行けば行く程同じような物が多いね。でも都心から離れていくと違う所が明らかになっていくね。例えばLA、NY、それに東京は物凄く眩しくってどれも似てる所が多い。だってちょっと探すだけでFRIDAYSが東京にもあるしね(笑)。都会は世界中似てる部分があるから、その国の個性が見たかったらちょっと足を伸ばさないといけない。
-ライドは都会の外派? 都会の中派?
Aaron ライドができればどのスポットでもいい気がする。そこもみんな違うけど、田舎の飯が好きな人と都会の飯が好きなように様々だよ。だからマジでどこでもライドするよ。もちろん都会の外に目を向けることは大切だと思うよ。その方が日本の全てが観れるし、STARBUCKSとFRIDAYSで終わることもないし。日本まで来るんだったら、日本でしかできない体験をしないと損してる気がするからね。最高なスポットで乗りたいね。
-日本は10年前に?
Aaron 10年前初めて日本に来たんだけど、マジで楽しくて最高だった。初めて自分が生まれ育った故郷から離れたんだよ。だから大きなカルチャーショックを受けるのは当たり前だよね。7年前も来日したんだけど、その時は最悪だった。4日間しかいなかったのにチームメンバー全員が体調を崩して、泊まった所も最悪で外は寒いしとにかく最悪。だから無かった事にしてる(笑)。だから10年経って、40ヶ国ぐらい旅して大人になって今回戻ってこれたのが嬉しいんだ。新鮮な気持ちで日本を観る事が出来ている気がしてね。最初に日本に来た頃はまだ母親に飯を作ってもらってた18歳の高校生。日本にビックリするのは当たり前だよ。地元テキサスと正反対の場所に居るからそれだけ日本を経験したい、この6年間はずっとそう思っているよ。時間はかかるけど後で、あれ食べたい、これしたい、あれも見たいって思うんだ。18歳の時はそんな事思わないよね、凄さがわからないし。今はひとりの大人としてここに来れて色々な物を食べてみたくなる。マックは食べたくないね、今はマックを食べない事がかっこいい気がしてるんだ。
-名古屋はどうでしたか?
Aaron 時差ボケにやられるまでは調子が良かったね(笑)。色々な店に行ったりローカルのシーンを見れてJAMに参加して。いろんなプロ達がライドした伝説のスポットで自分がライディングをしてみたり。みんな名古屋を気に入ってたよ。
-警察はどうでした?
Aaron 日本ってLA、オースティン、サンディエゴと比べるとそれほどBMXが流行っていないから警察の反応も違う気がして。警察にもちろん絡まれたりするんだけど、実際自分達が何をしているのか解ってない気がした。ただその場所には居てはいけないということは分かったよ。大して怒られないし、注意されて追い出されても自分達は場所を移すだけ。警察が居なくなるまで大人しくして、またすぐ始めるのを繰り返していただけなんだけどね。JAMでちょっとうるさい事もあったけど、250人も人が集まるとしょうがないよ。それだけの人数がいればモブ扱いだから警察とは面倒な事にはならなかったよ。
-JAMでの注目のライダーは?
Aaron 地元を案内してくれた人達もイケてたね。やっぱ現地の人が居ると通訳してくれるし、警察の事とかその周辺の知識とかを教えてくれたから助かったよ。制服のカラーで気をつけた方がいい警察の見分け方とか。緑だったり、青だったり紫だったり、あんまり違いは良くわからなかったけどね(笑)。とにかく現地の人が親切にしてくれたのは感謝してるよ。
-JAMも絶好調だったみたいですね?
Aaron JAMの前半は良かったよ。でも時差ボケに突入してからはほぼ後半寝てる状態だった。実際何歳かは分からなかったけど結構若い子も沢山いて嬉しかったよ。10歳にも満たない子がメチャクチャ上手だった。これだけアメリカから離れていて地球の反対側でもBMXが愛されてるのを見ると嬉しくってさ。10歳の子が普通出来ないようなトリックをやってるのを見た時は感動したし、NYとかサンフランシスコから日本の親戚の家にたまたま遊びに来てる子が2、3人来ててそれもクールだと思ったし。その2人と話ができたけど普通に英語も喋れて、フラっと来て話をしてくれて。なんでこんな事を言ってるかというと、シーンが確実に大きくなってきてるってことなんだ。果たして10年前にこんな事はあったのか?ってね。
最後にThe Street Seriesのスナップムービーが届いたのでご覧いただきたい。
こちらは続々とアップされる予定とのことなので今後も要チェックだ。
Monster Energy
The Street Series
Photo: Hikaru Funyu
Interview: Nick Hayakawa